藤井聡太 三冠2021/10/27 22:50

藤井聡太さんの進化が留まりません。その才能を信じて来た、多くの将棋ファンの予想を遥かに超える進化ぶりです。
今年の春、誰がここまでの強さになると予想できたでしょうか。

率直に言って、もう竜王奪取は時間の問題になりました。その時点で4冠となります。そして、それは、名実共に将棋界の断トツのトップに立つことを意味します。

今年度が始まった時、タイトル(棋聖と王位)の防衛すら危ういという声もありました。何故なら挑戦者が、棋聖は渡辺名人(前 棋聖)であり、王位は豊島竜王だったからです。この二人は今の将棋界の双璧でした。(と既に過去形・・・。)
特に豊島竜王とは唯一負けが先行していて、その理由すらわからないという感じでした。非公式戦を除けば、2020年までに6連敗していたのです。

しかし今年の朝日杯で勝ってからは、現在まで豊島竜王を圧倒するような勝ちを重ねてきました。今年に入ってからは大きく勝ち越し、直近の対局(竜王戦)では圧勝と言える完璧な勝ち方でした。

相対的な強さを示す指標の一つ、レーティングでも一人大きく抜け出しています。複数のサイトで各々の方法で算出されているため、絶対的な数字ではありませんが、代表的なあるサイトでは、10月22日現在で、

                 <藤井三冠が対局した場合の期待勝率>
1位 藤井聡太三冠  2074
2位 豊島竜王     1928   69.9%
3位 渡辺明名人    1924   70.4%
4位 永瀬拓矢王座  1885  74.8%
5位 斎藤慎太郎8段 1849   78.5%
9位 羽生善治9段   1790   83.7%

(https://shogidata.info/rate/fujiisota.html より)

などとなっています。
勿論、実際には人間同士の対局ですので、藤井三冠もこの方々に負けることもありますが、対局数が増えるほどにやはりこのような結果に収束してきている実感があります。
特に長い持ち時間の対局では、実力が正確に反映されやすく、実際にも
王位戦では豊島竜王に大きく勝ち越して防衛しました。
(棋聖戦では渡辺名人に対して3-0でストレート防衛です。)

現在進行中の2日制の竜王戦でも、目下2連勝中。
7番勝負なので先に4勝した方が勝ちですが、残り5局のうち、藤井三冠はあと2局勝てば奪取ですが、豊島竜王はここから4つ勝たなければ失冠してしまうという大変厳しい状況に追い込まれています。

藤井三冠は今までに連敗が非常に少なく、また3連敗したことはありません。
対戦相手がトップ棋士ばかりとなった今年でさえ、驚異的な8割4分台を保持しています。(8割以上の維持は5年連続。)

いろいろ言われていますが、やはり藤井三冠(今年度中に5冠になる可能性も残っています)は、歴代で最強の棋士になるでしょう。
誰が見てもその力が突出してきましたが、まだ19歳。これからもっと強くなっていくのです。一体どこまで強くなるのか、誰が藤井三冠からタイトルを奪えるのか、名人挑戦までに一体何冠になっているのか、
そんなことが話題になるほどの強さになってきました。

ただ、私が気になるのは、分かりやすく伝えるためとはいえ、例えば豊島竜王をヒールのように表現したりする一方的なメディアの伝え方です。

藤井三冠ご本人は見ればすぐにわかるのですが、この上なく謙虚で礼儀正しく、言動もぶれがない立派な好青年(!)です。
また、強くなったのはAIによってではなく、幼少期からの地道な勉強の積み重ねと、誰にも負けない将棋への愛情、真理の追究心からです。
(どこかの「脳科学者」がAI育ちだというような、全く間違ったことを言ったようですが。)

豊島竜王とは、王位戦と叡王戦で同時にタイトル戦が進み、王位戦が防衛、叡王戦では持ち時間が短いため激しい勝負となりましたが、常に先手が勝利したため、3-2で奪取、渡辺名人との対局による棋聖の防衛を含めて三冠になりました。

そして、今、将棋界で最高の場といえる竜王戦で三度豊島竜王と戦っているのです。いや、正確には、将棋の真理、絶対的な強さを求めて、最高の相手と戦っています。
戦ううちにどんどん相手の強さを吸収して更に強くなっています。
本当に稀代の棋士が成長しています。
その姿を同時に見ていられる幸せを本当に感謝しています。

和服姿も堂に入り、本当に似合いますね。
おやつの選択も、開催地の地元のことを考慮して選んでいるのです。
常に注目され、まるで「監視」されているような状況は19歳の若者には本当なら苦痛だろうと思います。ストレスもすさまじいはずです。

しかし、それらをおくびにも見せず、自分を信じて進んでいるそのブレない姿にファンは惹かれるのです。

棋聖防衛の記念扇子の揮毫は、「雲外蒼天」でした。
きっと雲を突き抜けて、青空が見えてきたのではないでしょうか。

どうか健康に留意して、どこまでも信じる道を進んで欲しいものです。
私(たち)は、ただひたすらに応援するだけです。

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