藤井聡太二冠を越す棋士は現れるか2020/09/21 20:03

 あっという間に棋聖、王位とタイトルを取った藤井聡太二冠。
個人的には「棋聖」というタイトルがとてもぴったりで、「藤井棋聖」ともう少し長く呼ばれていて欲しい気もしましたが、王位も取って押しも押されもせぬ「藤井二冠」となりました。

 その後の第二次藤井フィーバーは相次ぐ雑誌の特集やテレビ特番でどなたもご存知と思います。
どれだけ素晴らしい偉業なのかという称賛の嵐と、いやいや、
これだけAIが強くなって、幼少期からこれらに親しんで使い続ける、今
奨励会の初段あたりの小学生が新4段になる頃には、藤井二冠を凌ぐ棋士が現れるのではないかとも言われます。

 この、コロナ禍の暗い世相の中に差した一筋の輝く光が藤井聡太棋聖でした。それに伴い、ご本人の言葉や他の棋士の書いたものをかなりの読むことができましたが、その中で、私が漠然とながらも「いや、藤井二冠を超える棋士は少なくとも私の生きている間には現れないだろう」と感じていたことに、少し裏付けが取れた気がしてきました。

 まず藤井二冠がここまで強くなる基礎にはAIはほぼ関わっていません。もうすぐ奨励会を抜けるという時期から本格的に使い始め、それは自分の指した手の検討や、指せなかった手の分析などてあって、対局相手を徹底的に分析して相当期間研究し尽くして研究手をぶつける、という、藤井二冠のほぼ全ての相手方の棋士のような使い方はしないようです。
そのような戦法は、一度だけなら、また、短い持ち時間の棋戦なら、藤井二冠にも勝てるでしょう。しかし、その事前研究を離れた時、真の地力がものを言うのです。その力はAIの及ばない領域です。(人間が指す手はAIとは違いますが、終盤では詰みが関わってくるとソフトの読みと一致して行きます。)

将棋のトップ棋士が、ソフトを使い始めてから、少し自分の読みの力が落ちてきたと書いていました。つい、読みの検討にもソフトを使うので、先に答えを見てしまう、と言うような感じでしょうか。
また、時には勝負術として、ソフトが読まないような手を指せることも重要です。

藤井二冠の速くて正確な読みは、幼少期からの膨大な数の詰め将棋を解くことと、今でも対局中は納得のゆくまでじっくり読みを入れる姿勢に裏打ちされていると思います。

将棋のプロは皆「天才」です。その天才の中の天才が、名人や竜王を複数回取った「永世」タイトルホルダーの方々ですが、その方たちは皆、藤井二冠をふくめて5人しかいない「中学生棋士」でした。

今、羽生善治永世7冠が、100期目のタイトルを取れるかどうかという状況になりました。この年齢まで第一線で活躍し続けるのがいかに大変かを考えても本当に素晴らしいことと思います。
藤井二冠がその数を超えるかどうかもよく話題に上りますが、私は、きっと数がどうこうという些末なことではなく、真の意味で強く、プロが唸る卓越した内容で勝ち続ける孤高の大棋士、異次元の棋士になるとを確信しています。

健康に気をつけ、また、狂気の刃が決して向けられないよう充分に周囲には護って頂き、これから暫くは、どんどん増えるタイトルと爽やかに成長する姿を拝見することを何よりの楽しみとしたいと思います。

なお、期間限定かもしれませんが、迫っている王将戦リーグについて、各棋士のロングインタビューが掲載されています。
特に、永瀬二冠と藤井二冠の対談は非常に興味深いですね。
是非お読みください。
https://news.livedoor.com/article/detail/18918635/
また、他の3組の棋士も読みごたえ十分です!