ペシャワール会 中村哲代表のご逝去 ― 2019/12/04 23:35
第一報からずっと胸騒ぎがして、続報を気にしていたところへ、一番辛い事実が伝わってきました。いまだに動揺し、深い悲しみをとどめることができません。
中村先生のお名前をニュースで初めて知った方も、きっとその扱いの大きさに驚かれたのではないでしょうか。
少し検索すれば中村先生に関する沢山の業績に触れることができますが、一言で言えば、アフガニスタンの全ての人にとってかけがえの無い方でした。アフガンの方々はどんなにか驚き、深い悲しみに包まれていることか。そして、中村先生のお陰で、アフガニスタンでどれだけ親日的な人が増えたことでしょう。
本当にノーベル平和賞に値する方と思ってきました。
私はもう20年近くペシャワール会の会員です。会報をはいつも厚く、現地の様子、水路建設に関してはその計画や進捗状況、そして作業に当たる現地の人々の声、砂漠がまさに緑の大地に変わっていく様子を詳細に伝えていました。
そこに書かれた中村先生の言葉は一つ一つがずっしりと重く、言葉だけではない、行動を伴った力の籠もったものでした。特に平和とは何か、幸せとは何か、それを熱意と行動によって実践している方でした。
今回の銃撃は本当に許せない卑劣な行動です。その衝撃は計り知れません。
しかし、今私が感じるのは、
恐らく、銃撃した者も貧しいアフガンやパキスタンの人で、誤った思想と使命感に駆られたのではないか、ということです。
ある意味で彼らも被害者です。
先進国は武装勢力の掃討といって攻撃しますが、そこにいるのは非人間的なテロリストではなく、国家間の覇権争いや旱魃、貧困、差別、そしてその結果として奪われる教育の機会によって、正しい判断や人間らしい暮らしを奪われて、時に間違った道を歩いてしまう、私たちと同じ「人間」なのです。
こんなに悲しいのに、このように考えることが出来るのは、まさに中村先生のお陰と思います。
遠い国での無関係な事件、ではなく、同じ人間として、人間らしい最低限の暮らしさえ許されない人々がいる、という状況は、形を変えて今の日本にもあるのではないでしょうか。
中村先生の沢山の言葉と行動を今こそ知って頂きたいと切に思います。
ああ、それでも悲しくて堪りません。
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